透明人間といえば、SF映画や小説でよく出てきますが、実はその技術が現実でも開発されているって知っていましたか?
最新の研究で、なんと身近な食べ物に入っている色素を使って生き物の体を透明にできる方法が発見されたんです。
この技術は、医療にも大きな変化をもたらすかもしれないと言われています。
どうしてそんなことができたのか、さっそく見てみましょう。
そもそも「透明になる」ってなに?
さて、透明人間とは言うものの、ものが「透明に見える」とはどういうことでしょうか?
まずは、「人の目がものを見る仕組み」について簡単に理解しておきましょう。
ものの色がわかる仕組み
まず、私たちが「ものを見る」仕組みでは、目に入ってくる光が大きな役割を果たしています。
下記の記事で詳しくは解説していますが、太陽や照明などの光には、実はたくさんの色が混ざっています。

この光がものに当たると、特定の色だけを反射するので、反射された色に見えるのです。
例えば、リンゴは太陽の光の中の「赤い光」だけを反射するので、赤く見えるということですね。
もう少し詳しく説明すると、物を見るためには、以下の3つのステップが必要です。
① 光が物に当たる
私たちが周りの物を見られるのは、物に光が当たって、その光が反射するからです。
例えば、太陽の光や部屋の照明が物体に当たると、その光の一部が反射されて目に入ってきます。
② 目で光を受け取る
光が目に入ると、目の中にある「網膜(もうまく)」という部分がその光をキャッチします。
網膜には「視細胞」という細胞がたくさんあって、この視細胞が光の強さや色を感じ取ります。
③ 脳で「見る」ことができる
目が光をキャッチした後、その情報が視神経を通って脳に送られます。
そして脳がその光の情報を「画像」として処理することで、私たちは物を見ることができるのです。
透明に見える仕組み
さて、いよいよ本題です。
そこにいることがわからないほどに透明なものを作るためには、どんな仕組みが必要なのでしょうか?
その鍵は、光が物に当たったときの「散乱」と「屈折」にあります。
光の散乱と反射
普段、私たちがものを見るときは、光がものに当たって特定の色を反射することで、その物の形や色を認識できるとお話ししました。
では、「もの」がとても小さかったりするとどうでしょうか?
とても小さい粒などに光が当たると、光の中の色がばらばらに飛び散ってしまいます。
これを「散乱」といいます。
例えば、空が青い理由は、空中の粒子が青い光を散乱させているからなんですよ。

しかし、透明な物の場合、光があまり散乱せず、反射もしません。
光が物をまっすぐ通り抜けるため、目にその物の輪郭や色が届かないのです。
屈折と透明性
光が物を通り抜ける際に、物の中で少し方向を変えながら進むことがあります。
お風呂の中で手を見たときに、手を縦向きにすると短く見えませんか?
あれは、水と空気の境界戦で目に入ってくる光が曲がっていることが原因です。
これを「屈折」といいます。
透明な物は、屈折の度合いが空気と似ているため、光がほぼまっすぐ進むことができ、物が透明に見えるのです。
具体的な例で説明すると、水が入ったコップにスプーンを入れると、スプーンが折れて見えたりしますよね?
これは、スプーンが水の中で屈折した光の影響でそう見えるのです。
食用色素で透明に?驚きの研究!
では、今回の透明化技術はどのように実現したのでしょうか。
ここまでの話から考えると、生き物の皮膚、脂肪、筋肉などのいろいろな部位の屈折率を空気と同じにできれば、光は屈折も散乱もせず透明に見えるはずです。
カギとなる物質は「タートラジン」という食用色素。
日本では「黄色4号」と呼ばれています。
なんとこの色素、実は私たちの身近なものにも使われているんです!
たとえば、レモンジュースやスポーツドリンク、グミやキャンディなどのお菓子、さらにはカップ麺やお惣菜など、鮮やかな黄色が必要な食品に使われています。
身近なものにこんなすごい力があるなんて驚きですよね!

動物での実験:体の中が丸見え!
研究者たちはまず、鶏の胸肉でこの技術を試しました。
タートラジンを塗る量を調節して光の屈折率を調整し、その鶏肉が透明にしたのです。
次に、生きているマウスでも実験を行いました。
頭皮にタートラジンを塗ると、その下にある血管の動きや心臓の鼓動が見えるようになったんですよ。
さらにお腹にも塗ってみると、腸の動きや呼吸も観察できました。
体の中が透けて見えるなんて、まさに「透明人間」の世界ですね!
医療に革命が起きるかも?
この技術が進むと、医療の現場でさまざまな応用が考えられます。
たとえば、血液を採取する際に血管をより簡単に見つけられるようになるかもしれません。
また、特に注目されているのはがん治療です。
がんの治療には、がん細胞を早期に発見することが非常に重要です。
しかし、現在の技術では、体内のがんを見つけるために大がかりな検査が必要だったり、皮膚の表面に近い部分しかレーザーで治療することができなかったりします。
この新しい透明化技術を使うと、皮膚や軟組織を一時的に透明にして、深部のがん細胞まで見えるようにすることができる可能性があるのです。
これにより、がんをもっと早い段階で発見できるようになったり、レーザーでより効果的にがん細胞を切除できるようになるかもしれません。
がんの治療が飛躍的に進歩することが期待されています。
SFが現実に!『透明人間』の世界とそっくり?
実はこの技術は、100年以上前に書かれたハーバート・ジョージ・ウェルズの『透明人間』というSF小説に出てくる技術とすごく似ています。
こちらの本、青空文庫で読めるので、興味がある方は是非読んでみてください。

その小説では、主人公が体の屈折率を空気と同じにして透明人間になったんです。
小説では、二度ともとには戻れませんでしたが…
でも、現実の技術では、体を透明にしても元に戻ることができるので安心してくださいね。
なんにせよ、かつてSF小説で描かれた空想の技術の実現に近づいているなんて、過去の人たちが見たらどう感じるのでしょうか?
透明人間はもう夢じゃない!
今回の研究はまだ人間での実験はされていませんが、将来的にはこの技術がもっと進んで、私たちが透明になれる時代が来るかもしれませんね。
医療や科学の世界では、これからも新しい技術がどんどん生まれていくはずです。
君も科学を学んで、未来の透明人間を作る研究者になってみませんか?
【補足】
全身透明な人間をつくれたとしたら、その人はものを見ることができるのでしょうか?
記事の中で少し触れましたが、人がものを見る仕組みは、外から入ってきた光が「網膜で受け止められるから」です。
ですが、透明人間ということは、当然網膜も透明ですよね。
では、どうやって色を認識するのでしょうか?
解決策として、目玉だけは透明にしないという方法もありますが、目玉だけが動いているのは恐怖でしかありませんよね。
現在では、人そのものを透明にするのではなく、服などの身にまとうもので透明になる「光学迷彩」が開発されています。
透明人間になったらなったで大変なんですね。
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