みなさん、土星の「輪っか」を見たことがありますか?
土星は宇宙の中でも有名な「環」を持つ惑星ですが、実は土星以外にも輪っか(環)を持つ天体があるんです。
今回は、その中のひとつ「カリクロ」という小惑星のお話です。
カリクロってどんな天体?
カリクロは、太陽系の「ケンタウルス族」と呼ばれる小惑星の一つです。
小惑星というのは、太陽系の中にいるとても小さな天体のことです。
そのほとんどが数mから数十m程度で、地球(約12,700km)のような惑星と比較すると小さすぎますね。
このケンタウルス族は、木星と海王星、天王星の間をぐるぐる回っている天体たちの集まりです。
その中でもカリクロはとても大きく、直径は約257.5キロメートルもあります。
そしてカリクロは、土星のように環を持つ天体としても有名です。
実は、一番最初に見つかった環がある小惑星なんですよ。
2013年にジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がその環を発見しましたが、なんと2本もあることがわかっています!

カリクロの環はどうやってできている?
土星の環についてはすでに多くの研究がされていますが、小さな天体であるカリクロがどうやってその環を持ち続けているのかは、まだまだ不思議なことが多いのです。
普通、環は粒子同士がぶつかったりすることで、自然と散り散りになってしまいます。
でもカリクロの環は細くて、何年もそのままの形を保っています。どうして広がらないのでしょう?
それには「羊飼い衛星」という特別なお手伝いさんが関わっているかもしれない、ということが最近の研究でわかってきました。
羊飼い衛星ってなに?
「羊飼い衛星」というのは、環の中で羊飼いが羊を集めて見守るように、環の粒をまとめている小さな衛星のことです。
実は、土星の環の一つにもにもこのような衛星があって、環を保っています。
下の画像は、土星にある「パン」という衛星です。

カリクロの環についても、研究チームがシミュレーションをしたところ、カリクロの周囲6キロメートルの位置に小さな衛星がいて、その衛星が環を維持している可能性があることがわかりました。
これによって、カリクロの環が拡散しないように保たれているのです。
他にもこのシミュレーションは、カリクロと環の距離が、環がカリクロに引き寄せられないぎりぎりの距離(ロシュ限界)の位置にあると推定しました。
カリクロの謎はまだまだ続く…
今のところ、この小さな衛星は直接見ることができません。
でも、研究者たちは新しい望遠鏡やミッションで、いつかその姿を観測できるかもしれないと期待しています。
私たちが住む地球からは見えないけれど、宇宙にはこうした「お手伝いさん」がたくさんいるかもしれませんね。
宇宙の不思議な現象を解明するためには、まだまだたくさんの研究が必要ですが、それがどんな新しい発見につながるのか、とても楽しみです!
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