九州の南にある海底には、実はとても大きな火山が隠れています。
その火山の名前は「鬼界カルデラ」。
この火山は、私たちが知っている普通の山の形をした火山ではなく、海の下にある大きな凹みのような形をしています。
この「カルデラ」という言葉は、火山の噴火でできた巨大なくぼみを指します。
日本の歴史に大きな影響を与えた鬼界カルデラは、一度噴火すると非常に大きな被害をもたらす火山なんです。
今回は、この巨大噴火の真相に迫ります。
鬼界カルデラとは?
「カルデラ」って何だろう?
火山が大噴火を起こしたとき、地下にたまっていたマグマが噴き出してしまうと、マグマがあった場所に大きな空洞ができます。
その空洞の部分が崩れ落ちてできる大きなくぼみが「カルデラ」です。

鬼界カルデラは、東西20キロ、南北17キロという巨大な楕円形のカルデラで、鹿児島市から南へ約100キロの海底にあります。
鬼界カルデラはただの火山ではありません。
過去に3回も巨大噴火を引き起こしてきた、非常に力強い火山です。
14万年前、9万5000年前、そして7300年前に大噴火が起こり、それぞれの噴火は日本の広範囲に影響を与えました。
鬼界カルデラの歴史: 3度の巨大噴火
鬼界カルデラは、地球の歴史の中で3回も大規模な噴火をしてきました。
その中でも、特に7300年前の噴火は非常に大きなものでした。
この噴火の時には、火山灰や火砕流が日本の九州南部にまで届き、当時の縄文文化を壊滅させたと言われています。
火砕流とは、火山の噴火によって発生する高温のガスや岩石が高速で流れ下る現象です。
この時の噴火で、火山灰が日本中に広がり、遠く離れた場所でも空が暗くなったと考えられています。
また、火山灰は農作物に悪影響を与えたり、動物や人間にも深刻な被害をもたらしました。
最新の研究結果: マグマの蓄積と噴火までのプロセス
最近、鬼界カルデラの過去の噴火についてさらに詳しいことが分かりました。
神戸大学や海洋研究開発機構(JAMSTEC)の研究グループが、地球深部探査船「ちきゅう」を使って、海底の深い場所まで掘り、鬼界カルデラの活動を調査しました。
その結果、鬼界カルデラは、なんと9000年もの長い年月をかけてマグマを蓄積し、最終的に7300年前の巨大噴火を引き起こしたことが分かりました。
最初に、約9万5000年前に大噴火が起こった後、地下に新しいマグマが少しずつたまり始めました。
4万3000年前からは小さな噴火が繰り返し起こっていたことも判明しました。
そして、1万6000年前から本格的にマグマが蓄積され始め、長い時間をかけてマグマが増え続け、ついに7300年前に大噴火を引き起こしたのです。
もし次の噴火が起きたら?
では、この鬼界カルデラがもう一度噴火することはあるのでしょうか?
科学者たちは、鬼界カルデラの火山活動がまだ完全には終わっていないと考えています。
実際に、鬼界カルデラの一部である薩摩硫黄島では、今も火山活動が続いており、硫黄岳という火山は日本の中でも特に活発な火山として知られています。
もし鬼界カルデラが再び噴火した場合、火山灰が日本中に降り注ぎ、交通機関がストップしたり、農作物に大きな被害が出る可能性があります。
さらに、津波や火砕流といった現象も引き起こされ、九州地方だけでなく、日本全体に影響を及ぼすことが考えられます。

しかし、心配しすぎる必要はありません。
現代の科学技術は進んでおり、火山活動の監視システムや噴火の予測技術も発展しています。
例えば、噴火の兆候をキャッチして事前に避難するためのシステム、DAS(Distributed Acoustic Sensing 分布型音響センシング)があります。
科学者たちが火山を常に監視しており、私たちが安全に暮らせるようにしています。
まとめ
自然の力は非常に大きく、時には私たちに脅威をもたらすこともあります。
しかし、私たちはその自然の力に対して無力ではありません。
科学者たちが鬼界カルデラのような巨大火山を研究し、その活動を理解することで、未来に備えることができるのです。
火山の噴火などの自然災害は避けられないかもしれませんが、事前の準備や知識があれば、被害を最小限に抑えることができます。
私たちは自然と共に生きていく中で、科学技術の力を使って自分たちを守る方法を学び続けることが大切です。
防災意識を高め、いつでも備えをしていき、未来の安全を守る準備を進めていきましょう!
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