私たちの見ている「色」の中には、ないはずのものがある――そう言われたら、信じられますか?
今日は、そんな「ないのにある色」、赤紫の秘密を探りに行ってみましょう。
赤紫ってどんな色?
その名の通り、赤と紫の中間にある色です。
中でも鮮やかなものは「マゼンタ」とも言いますね。
名前の由来はイタリアのミラノにある町、「マジェンタ」。
「マジェンタの戦い」という言葉を聞いたことがある人がいるかもしれませんが、その舞台になった街です。
マゼンタは、光の三原色を混ぜたとき、赤と青の重なる部分にある色でもあります。
……実は、この「赤と青の重なる部分」というのがクセモノ。
赤紫の不思議なところです。
どうして赤紫は「ない色」なの?
下の記事はもう見てみましたか?

簡単に内容を紹介すると、光には波……波長があります。
短いものから長いものまで、たくさんの波長がありますが、人間の目で見ることができるのはほんの一部の波長だけ。
この図を見てください。
下には変わった数字が書いてありますが、ここで覚えておいてほしいのは、この図では「左に行くほど波長が長くて、右に行くほど波長が短い」こと。
ということは、青の波長は短くて、赤の波長は長いとわかります。
青より短い波長は「紫外線」「X線」「γ線」…と続き、赤より長い波長は「赤外線」「マイクロ波」「ラジオ波」…となっていきます。
この図の中の色のついている部分が、人間の目で見ることができる波長です。
これを「可視光線」と呼びます。
この図をよく見てみると…?
この可視光線の図を見ていると、不思議なことに気が付くかもしれません。

「赤紫」がどこにもない!
それもそのはず、赤紫は「青と赤の重なる部分にできる色」……つまり一番波長の短い青と、一番波長の長い赤がくっつかない限り、生まれない色なのです。
でも、この図を見ていると、青と赤の重なる部分はないし、中間にある色は「緑」ですよね。
短い波長と長い波長がくっつかなくちゃ生まれないのに、その中間で見えるはずの色じゃない……だなんて、なんだか矛盾していますよね?
これが赤紫を「ない色」という理由です。
ですが、実際に赤紫は見えていますし、当たり前に使われています。
なぜなのでしょうか?
赤紫が見えるしくみ、人間の目のふしぎ
赤紫が「ない」理由は、光の波長でしたね。
ここからは、赤紫が「ある」理由のお話です。
その理由……人間の目のしくみについて、ちょっとだけ見てみましょう。
色を認識する、人の目の仕組み
人間の目には、2種類の特別な細胞があります。
ざっくりと説明すると、「明るさ」を受け取る細胞と、「色」を受け取る細胞です。
明るさを受け取る細胞の話は今度にして、今日は色を受け取る「錐体細胞」に注目してみましょうか。
錐体細胞にはいくつか種類があります。
「光の三原色」という言葉で想像できる人も多いでしょうが、人間は3種類の錐体細胞を持っています。
その名も「L錐体」、「M錐体」、「S錐体」!
……分かりにくいですね。
それぞれ「赤錐体」、「緑錐体」、「青錐体」ともいいます。
名前の通り、それぞれの色の波に大きく反応する細胞です。
どうして赤紫が「ある」理由になるのかというと……
わかりやすくするために、ここで1つ、図を見てみることにしましょう。

これは3つの錐体細胞の反応の大きさ、「色覚」を大まかなグラフにしたものです。
青い線は青錐体に、緑の線は緑錐体に、赤い線は赤錐体に対応しています。
「おや?」と思った人もいるでしょう。
枠で囲った部分を見ると、青い線が大きく上に伸びているとき、その下に少しだけ赤い線も伸びていますね。
何を隠そう、これが「赤紫」のしくみです。
青い線が伸びているとき、目の中では青錐体が反応しているので、人の目には青色が映っています。
ですが、実は青色……短い波長の中でも、赤錐体が少しだけ反応する。
つまり青と赤が重なって見える波長があります。
この「青の中の赤」の波長を見ているとき、人間の目の中では「青と赤が混じった色」が生まれます。
青と赤の波長の中間にある緑ではなくて、赤紫が見えているのですね。
よく見てみると、他にも「青と緑が同時に反応している部分」や、「緑と赤が同時に反応している部分」もあります。
人間が光の波長を単体で受け取っていることはとても少なく、たいていは複雑に混じり合ったものを見ているのです。
ですから、世界にはいろいろな色があるように見えるのですね。
まとめ
赤紫には、「ある」理由と「ない」理由が同時にあります。
光の波長からみた世界と、実際に目に映っている世界に違いがあるなんて、なんだか不思議です。
ものごとをいろいろな角度から調べてみると、矛盾しているように見えることにも説明のつく理由があるのですね。
今回は説明しきれていない言葉がたくさん出てきてしまいました。
波長のことや目のこと、色のこと……それから、「マジェンタの戦い」も!
他にもたくさん語りたいことがありますが、今回はここまでにしておきましょう。
気になったことがあれば、ぜひ調べてみてくださいね。
コメント